井上靖 おろしや国酔夢譚

18世紀末に実際にあった船頭・大黒屋光太夫(だいこくや・こうだゆう)の10年間に渡る漂流生活に関する歴史小説。おろしやの国酔夢譚の序章によると、光太夫が漂流する半世紀前に日本人漂流者がロシアに至り、日本人学校で教師をしていたことがわかる。当時ロシアでは日本との貿易を望み、日本語通訳ができるロシア人養成に日本人漂流者を丁寧に扱っている。 

17人で三重県白子を出発し江戸を目指すが、荒波により舵を失い半年の漂流生活が始まる。帰国は大黒屋光太夫と合わせて三人。生に拘る壮絶な生きざまを知ることができる。

 

 大黒屋光太夫記念館

 

 ロシアを見てきた日本人・大黒屋光太夫