永井路子「異議あり 日本史」


大分古い本(平成4年・1992年)だが、史実を自分なりに如何に解釈するかという思考法について参考にした。中でも、

  • 「もう一人の主役・光厳天皇」
  • 「今川義元は凡将か」

は興味深く読んだ。

前者は、南北朝時代の北朝側の最初の天皇。確かに南朝の後醍醐天皇に目がいくが、北朝の最初の天皇にされた光厳天皇は足利尊氏にいいように振り回されてひな壇に祭り上げられたり、下げられたり。ただ、時代の流れのなかでは「もう一人」の主役だと思う。

お歯黒大名・今川義元はあっけなく織田信長によって落命するという内容を思うに、うぬぼれ大名が油断したのでかんたんに負けたと思われるが、義元の家柄・知性・戦略性などずば抜けていると本書に書かれている。読んでみると確かにずば抜けていることがわかる。単に好き勝手に公家を真似したお歯黒ではなく義元だからお歯黒が許される?ことも納得してしまう。

などなど、短編で史実の捉え方を学べる本だ。