1980年版。いろいろな古事記を読んだが、梅原猛の古事記の読み方が分かる。この本の前に書かれた「神々の流竄」、「隠された十字架(法隆寺論)」で仮定しているように、
- 古事記の撰者は藤原不比等
- 稗田阿礼も藤原不比等
を基本に古事記を読み解いている本である。つまり、不比等なら元明天皇だけに献じる「古事記」をどう骨組みするかという観点で、以下の項目で読み解かれている。
- 国生み
- 天孫降臨
- 異民族との混血
- 大和制覇
- 国の発展
- 国の衰退(武烈天皇以降の王統断絶と応神天皇5世孫の継体天皇につなぐ話)
本の最期には、梅原の考え方である「縄文時代にあった言語はアイヌ語」とし(彼らが先住民)、アイヌ語と現在の語につながりを取り上げていることも興味深い。