黒岩重吾「古代史への旅」


原版1991年、文庫版初版2014年。

 

梅原猛の「飛鳥とは何か」と合わせて読むといいかもしれない。

本著は、飛鳥時代以前の中国、中国情勢、渡来人の来日の背景、時期、意図などが描かれており引き込まれる本であった。

 

仏教はひとつの文明であり、旧来の拝殿もない神教に比べて豪族が権力向上のひとつの手段だったことも理解できる。仏教伝来からざっくり50年後の推古朝で聖徳太子が仏教の純粋性を求めるのに対し、蘇我家という豪族の権力象徴のひとつになる。確かに、仏教を文明と考えると、この頃から奈良仏教、平安仏教、鎌倉仏教までの約600年の間日本に仏教が溶け合ってゆく様を大雑把につかめそうだ。

 

ところで、無知な小生は今回初めて黒岩重吾の古代解説や古代の歴史小説が沢山あることを知った。飛鳥時代以前の歴史探訪も、仏教文化を理解してゆくことや飛鳥時代から始まる律令国家のベース、つまり各地の豪族の素性と勢力に関する基礎知識などの理解の助けとなるだろう。

 

ただ、中々読みたい本の中古本が少なく、本のゲットの方が難解かもしれない。