黒岩重吾「白鳥の王子 ヤマトタケル 東征の巻」


初出1997年5月単行本、文庫化2002年10月(角川文庫)。

 

「大和の巻」、「西戦の巻」に続く「東征の巻」。ヤマトタケルの物語の中に出てくる東国までの物語ではなく、東征に行く途中の尾張で、宮簀媛の誘惑と弟橘媛の救出がメインに書かれている。

 

これまでヤマトタケルを中心にした弟橘媛と尾張の豪族の娘・宮簀媛の関係が良く分からなかったが、この物語でそうかも知れないと思った。黒岩重吾の時代小説には珍しくSF的な物語で出来ており、読んでいて面白かった。

 

また、物語では大王妃である異母の八坂入媛と大和の豪族・物部十千根(とちね)が、大和尊と次期大王にさせないための刺客を向けることも絡み、物語は複雑に絡み合う。