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ふるさと納税の解釈


12月になったので、テレビでもふるさと納税に関する特集が多くでている。しかし、どの番組もふるさと納税額が課税所得の制限を受けることもとくに説明せずに、自己負担わずか2000円で豪華なカニが届くような印象を与えているだけ。

 

要するに、以下の点に気を付けて、ふるさと納税を解釈しないといけない。

ここでは、ふるさと納税による「減税」の解釈を書くので、「減税」額が大きい住民税を取り上げて説明する。

  • 所得税と住民税は、前年に収入(給与、年金など)がある人が、前年の一年間の所得(収入ではない)に応じてきまる
  • ふるさと納税とは、現在の居住地のある県・市以外の「ふるさと」に住民税の一部を納めること
  • 当たり前だが、住民税(A)はそもそも払うもの。その一部(a)を「ふるさと」県・市に収めるので、居住地に収める住民税は(A-a)になるだけ。これが、一見「減税」のような錯覚を覚えるが、通して考えるとほぼAに近い住民税は納めることになる。
  • 錯覚をはっきりさせるためには、次のように考えればよい。
    • ケース1:ふるさと納税をしなかった場合、
      • 毎年6月に確定連絡がくる「住民税」A円を納める。
    • ケース2:ふるさと納税をした場合、
      • 前年12月31日までに納めた「ふるさと納税」a円とすると、
      • 毎年6月に確定連絡がくる「住民税」は、(A-a)円になる。
    • 要するに、ふるさと納税を行うと、本年の所得に応じた来年の住民税の一部(a)円を前年12月31日までに前払いしていることになる

また、注意しなくてはいけないことは、「ふるさと納税」額は勝手に決められるかというとそうではなく、「限度額」があること。これも当たり前だが、本年の課税所得額(収入額ではない)で決まる所得税率に応じた「ふるさと納税」額が存在する。これは、いろいろ調べたが、和光市のHPにある「納税の上限額の計算方法」があり、これが一番分かりやすかった(国税庁より)!

 

  • 「限度額」があるので、上述した返礼品である豪華カニや高級おせちがたった2000円で届くというのは、一般素人を馬鹿にしている。豪華カニや高級おせちが届くには、10万円とか20万円の「ふるさと納税」額になる。この10万とか20万円という限度額が払える所得のある人はそうそうにはいない。しかも、テレビでは年休受給者でもOKみたいなことを言っているが、年金所得だけではカニは届かない(番組ディレクターが「ふるさと納税」を本当に知っているのか疑問)!

以上から、「ふるさと納税」を考える際の注意点は、

  1.  今年の課税所得(収入ではない)に応じて来年6月から来年度分の住民税が決まるので、
  2.  今年の課税所得を考慮(予測)して「ふるさと納税限度額(B)」を見積もり、それを上限として今年中に居住地以外の県・市に「ふるさと納税(ここではBとする)」として収める
  3.  来年2月の確定申告で今年の課税所得額から「ふるさと納税」は「寄付金(B-2000円」として申告でき、(B-2000円) x 所得税率=C分だけ「減税」される。
  4.  ここで、2000円というのが、例の「たった2000円の負担だけで.....」の2000円負担金である
  5.  また、来年6月に決定する来年度分の住民税は、概ね(B-C)の「減税」(単に、今年B円だけ前払いしているだけ)となる

なので、限度額に応じた「ふるさと納税」のメリットは、

  1.  減税と言う解釈ではなく、
  2.  今年中に、来年の住民税の一部を前払いをすれば、
  3.  そのお礼として、返礼品がもらえることである。

つまり、「ふるさと納税」しない場合に従来通り「真面目に?」来年度の住民税を払うのか、今年中にその一部を納税して、返礼品をもらうか(2000円の出費はあるが)の違いとなる。

 

ということになるので、過去退職した翌年から「ふるさと納税」をやっておけば良かったと思った次第である。高額所得者ほどメリットとしての返礼品が豪華になるが、一般庶民でも知恵を絞ると豪華な返礼品となるので、明後日「ふるさと納税」しようと思う。