黒岩重吾「白鳥の王子 ヤマトタケル 終焉の巻」


初出2000年6月単行本、文庫化2003年9月(角川文庫)。

 

「大和の巻」、「西戦の巻」、「東征の巻」に続く「終焉の巻」。このシリーズの完成まで12年間を費やした歴史小説。

 

東征の続きから始まり、タケルが三浦半島・走水から現在の木更津に渡るときに海が荒れ、それを鎮めるために弟橘媛が入水するシーンが出てくる。東国を大和王権に属させ、大和に帰還する際に、また尾張で宮簀媛の誘惑に勝てず、更に劔の剣まで隠されて伊吹山に行ったタケルは山の神に痛み付けられる。そうなってしまった背景も小説として面白く表現されている。

 

三重県の能褒野(のぼの)で息絶える。この能褒野町にタケルの御墓(能褒野御墓(田村町))があり、亀山時代に一度行ったことがある。何か寂しい印象を受けた。