黒岩重吾「紅蓮の女王 小説 推古女帝」


初出書籍1978(昭和53)年6月(光文社刊)、文庫1981(昭和56)年10月(中央公論社)。初出は今から43年前。

 

黒岩重吾が古代の歴史小説を著した最初の本。確かに作品集を見ても最初である。

敏達大王の妃であった豊御食炊屋姫(とよみかしきやひめ)が、広姫皇后が亡くなった後に皇后になり、敏達亡き後に大王の警備隊長である三輪君逆(さこう)と紅蓮の恋をし、推古女帝が即位するまでの小説。先に読んだ「聖徳太子」と一部被るが推古女帝になるまで経緯が描かれている。

小説も面白いが、最後の尾崎秀樹との対談「紅蓮の女王の背景」で初めて黒岩が古代ロマンを描き始めた背景などが書かれており、黒岩重吾作品を読むにあたって読んでおくと、その後の作品が生まれてくる背景が分かる。