高橋克彦「炎立つ」全5巻


橋克彦の「風の陣」、「火怨」に続く奥六郡の歴史小説。

 

大別すると、小説の柱は3つ

 

①奥州藤原氏の礎となる藤原清経と阿弖流為の神がかる阿部氏棟梁・貞任を中心に、阿部氏滅亡を招く前九年の役の終了まで

②阿部氏滅亡後に奥六郡の納めることになる清原一族、その内部抗争となる後3年の役の終了まで

③清原経清の子・清衡が奥州藤原氏の黄金時代を築き、また源頼朝による奥州合戦で滅亡するまで

 

蝦夷の国・陸奥を楽土にするために戦った蝦夷側の視点からの小説であり、高橋克彦ならではの史実を縫い合わせるようにして蝦夷側から一貫した視点で描かれている。非常に興味をもって読めた。

  タイトル 初出(NHK出版) 文庫  (講談社文庫)
壱 北の埋み火 1992/12 1995/9/15 1049年12月~1051年1月鬼切部の戦い(前九年の役が始まる)
弐 燃える北天 1993/2 1995/9/15 ~1056年阿久利川事件~1057年12月黄海の戦い
参 空への炎 1993/5 1995/9/15  ~1062年厨川(くりやがわ)の戦い・阿部氏の滅亡
四 冥き稲妻 1993/8 1995/10/15  安部氏滅亡から5年後(1067年)~1087年後三年の役終わり
伍 光彩楽土 1994/5 1995/10/15  奥州藤原氏初代清衡の回想1125年~1189年奥州合戦終わり

つものように、デジタル年表を作成した。

五巻に登場する人物家系図は下図。

奥六郡など全5巻に登場する地域をグーグル・アースで巡ってみた。

奥の土地勘も3つの小説を通して出てきたので、引き続き、戦国時代に飛んで高橋克彦作品の「天を衝く」を読み始めている。