黒岩重吾「ワカタケル大王」


単行本初出2002年1月。文庫本2003年12月第1刷、文春文庫、上下2巻(19年前の本)。

 

歴代天皇系図における本歴史小説としての位置づけを下図に示す。黒枠が読んだ本。橙色の枠は入州困難な本。

 

今回のワカタケル大王(雄略天皇)が葛城氏族を滅ぼすことは、古代史の中でも何度も読んできた。今回の歴史小説で葛城氏滅亡への流れを理解することができた。

 


また、今回は葛城氏の祖である襲津彦(そつひこ)系図とワカタケル大王の系図を見ながら読んだので、人間関係が分かりやすく読めた。葛城の他に、平群、吉備、和珥、物部、大伴の氏族が関連してくるので、スケールの大きな小説になっている。

 

下図のベースは本文庫の関係系図として、葛城氏族は緑線で示し、ソツヒコの娘の磐之姫が仁徳大王の妃になるところから葛城の血が王族に絡んでいくことが分かる。

 

葛城の勢力拡大の抑制のため允恭大王は葛城玉田宿禰を斃すが、その子である葛城円大使主(つぶらのおおおみ)が勢力を盛り返し、同じ葛城の血を引く市辺押羽王を安康大王の次に押そうとする。この辺りから、ワカタケル大王の大王奪取の行動につながる。。。。